タイ古式マッサージとは
タイ伝統医学
タイ古式マッサージは、約2500年前から伝わるタイ伝統医学の一つです。
所説ありますが、仏教とともに広く伝えられたとされており、その効果の高さは現在でもタイの教育省や保健省が認めており、病院での治療にもタイ古式マッサージが用いられることがあります。
参照 : ユネスコ タイマッサージ紹介動画
また、指圧やストレッチ、筋膜リリースや整体のテクニックを同時に複数個所に行う技術で、相乗効果によって身体全体がほぐれ、自律神経が整いリラックス効果も非常に高く安全な施術方法です。
2019年 12月にコロンビアで行われた第14回無形文化遺産保護条約政府間委員会において、タイ古式マッサージがユネスコ無形文化遺産に登録されました。
「 芸術と科学・文化を兼ね備えた伝統医療 」として高く評価されました。
マッサージスタイルの違い
約2500年前から伝わるタイ古式マッサージですが、その施術方法にもスタイルがあります。
【 ロイヤルスタイル 】
国王に施されていたマッサージスタイルで、顔を見ることは許されず、国王をうつ伏せにしたり手足を引っ張るようなストレッチも出来ませんでした。仰向けでゆったりとした指圧がメインのスタイルです。
【 バンコクスタイル 】
タイの首都バンコクにある寺院 「 ワット ・ ポー 」発祥と言われているスタイルで、「 ワットポースタイル 」 とも呼ばれます。ロイヤルスタイルに近く、ゆったりとした指圧がメインの施術方法です。
【 チェンマイスタイル 】
タイ北部のチェンマイで広く行われている施術方法で、バンコクスタイルに比べてストレッチの手技が多く取り入れられています。
【 ランナースタイル 】
北部ではその昔、ビルマ( ミャンマー )に統治されるまで、チェンマイを都に置いた「 ランナー王朝 」がありました。
現在でもチェンマイの伝統的な文化などを「 ランナースタイル 」と呼びます。
マッサージに於いても、指圧に心地良い動きをプラスした独自の施術方法をランナースタイルと呼びます。
当スクールでは、バンコク ・ チェンマイ ・ ランナースタイルをミックスさせた心地良い施術方法が学べます。
二人で行うヨガ
タイ古式マッサージは、「 二人で行うヨガ 」と呼ばれます。
これは、施術する姿の美しさからも分かるように、施術者も自分の身体をストレッチするような姿勢で施術します。
これにより、マッサージを受ける側も施術する側も一緒に健康になれるといった素晴らしい技術です。
他のマッサージには無い、タイ古式マッサージの特徴と言えるでしょう。
世界一気持ちいいマッサージ
タイ古式マッサージは、「 世界一気持ちいいマッサージ 」とも呼ばれます。
これはその施術方法にあり、単につらい箇所の筋肉をもみほぐすのではなく、身体全体に対して心地よい施術を行うからです。
また、指圧やストレッチ、筋膜リリースや整体のテクニックを同時に複数個所に行うことにより、相乗効果によって身体全体がほぐれ、自律神経が整いリラックス効果も非常に高くなります。
このテクニックも他のマッサージには無い、タイ古式マッサージの特徴と言えるでしょう。
もみ返しが起こりにくい
タイ古式マッサージはもみ返しが起こりにくいと言われています。
これは、硬くなっている筋肉だけを集中的に短時間で強くもむのではなく、押圧やストレッチを身体全体に行いながらゆっくりと時間をかけて全身を整えていくからです。
同じ場所だけを短時間でグイグイ強くもむと、筋線維が傷つき痛みを引き起こすことがあります。
これは、ケガをしたのと同じ状態ですので、施術後痛みが出てきます。これが「 もみ返し 」です。
安全かつ施術効果が高いというのも、タイ古式マッサージの特徴と言えるでしょう。
マッサージの効果とは
血液やリンパの流れを促進
身体の調子を整える上で、血液やリンパの流れは非常に重要です。
特にリンパは身体中を流れて心臓に戻るまで約12時間もかかると言われています。
以前から、「リンパは血液のように自分で流れない」という説を耳にしますが、近年の研究では、集合リンパ管と言う太いリンパ管の壁には平滑筋があり、自発性収縮機能があることが分かっています。
しかし心臓のような強力なポンプ機能は無く、自ら押し出す力が弱いので、流れが滞りやすくなり”むくみ”の原因になりやすいと言われています。これが「 リンパ浮腫 」です。
細いリンパ管は、呼吸運動や動脈の拍動、リンパ管隣接の筋肉の収縮、集合リンパ管の自発収縮機能による吸引作用などの外力によって流れるしかありません。
タイ古式マッサージは、押圧やストレッチを身体全体に行いながら全身を整えていくため、硬くて動きが悪くなっている筋肉が元の状態に戻り、リンパや血液の流れを促進します。
血行やリンパの流れが良くなることで、身体の隅々まで栄養素が行き届き、自然治癒力や免疫力も高まります。
参考文献:「 新しいリンパ学 」 著:加藤征治 氏
自律神経の調整
タイ古式マッサージの特徴でもあるゆったりとした施術は、「 幸せホルモン 」とも呼ばれるオキシトシンと言う物質が分泌され、アルファ波を伴って半覚半眠の状態になり、副交感神経を優位にして深いリラックス状態になります。
副交感神経が優位に立つことで、全身の筋肉の拘縮がほぐれ、不眠の改善にもつながります。
身体の歪みを整える
最近では長時間のパソコン仕事やスマホの見過ぎで悪い姿勢のまま筋肉が拘縮してしまい、身体の色々な個所が不調になるケースも増えています。
強張って硬くなった筋肉に骨格が引っ張られると、身体に歪みが出てきます。
代表的なものは猫背ですが、その他にも片方だけ肩が下がっていたり、肥満でないにもかかわらずお腹がポッコリと出ていたりといったケースです。
タイ古式マッサージはヨガや整体の技術も備わった施術法ですので、筋肉を緩めて身体が正しい位置に戻るよう働きかけます。
また、内臓の疲れから身体に歪みが出る場合もあります。
ストレスなどで肝臓が疲れてしまった場合、右肩が下がり、右の腰が高くなるケースがあります。これは疲れた肝臓が緊張し、周囲の筋肉を引っ張る形になるため、肝臓に引き寄せられるように身体が歪んでしまうのです。
タイ古式マッサージは心地良いゆったりとした施術でアルファ波を伴い、深いリラックス状態となる為、ストレス軽減の効果も高いと言えます。
「 セン 」とは
生命エネルギーが流れる経路
参照 : ユネスコ タイマッサージ紹介動画
タイ古式マッサージにおいて非常に重要視されるのはこの「 セン 」と呼ばれるものです。
センは生命のエネルギーが流れるラインで、身体にはこのセンの主要なラインが10本あるとされています。
またこのセンは主要なライン10本のうち、6本が足にあるとされています。
ですから、センを重要視する本場のタイ古式マッサージは重要な足から施術していくのです。
センはWHO ( 世界保健機関 )も認める東洋医学の「 ツボ 」や「 経絡 」と酷似しているもので、エネルギーが通っているかどうかは目で見ることは出来ませんが、実際にセンを刺激することで様々な効果が表れます。
解剖学的な「 セン 」
タイ古式マッサージにおいて重要視される「 セン 」ですが、抽象的で非常に分かりづらいものです。
しかし「 セン 」と呼ばれる場所を解剖学的に見てみると、骨格と筋肉の間であったり、筋肉と筋肉の間であったり、動静脈やリンパ節が集まっている場所が非常に多いことが分かります。
これは筋肉を直接指で押しつぶしてしまうような施術ではなく、「筋肉と骨格」や「筋肉と筋肉」の癒着を剥がし、リンパ節の機能を改善し、動静脈にアプローチして血流を促すような施術になっているということです。
このあたりも、タイ古式マッサージは筋線維を傷つけない施術方法で、もみ返しが起こりにくく安全と言うのもうなずけます。
抽象的と思われる「 生命のエネルギーが滞りなく流れる 」とは、この「 セン 」を意識しながら刺激することで、血流やリンパの流れを促進し、筋肉の緊張がほぐれ、身体の歪みが改善され、不調が緩和されていくと解釈できます。
また、タイマッサージのゆったりとした心地良い施術は 「 半覚半眠 」の状態となり、「 オキシトシン 」( 別名幸せホルモン )という物質が分泌され、自律神経が整います。